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問題が多い、有料老人ホームのありかた
(2009年7月28日)
◆基準違反でも無届けよりましという判断
有料老人ホームは介護保険サービスのように指定制ではなく、特別養護老人ホームや老人保健施設のように設置に認可がいるわけでもありません。有料老人ホームで介護保険の「特定施設入居者生活介護」を利用するためには、指定を受けなくてはならないけれど、有料老人ホームとして運営するだけなら、都道
府県に届け出ればOKなのです。厚生労働省が出している「有料老人ホーム設置運営標準指導指針」をもとに、各都道府県で「有料老人ホーム設置運営指導指針」を定めていますが、これはあくまでも「指針」。指針で定められている有料老人ホームとしての基準を守らなくても、30万円以下の罰金しか課せられず、それすら課せられないケースも多いのです。
だから、名の通った有料老人ホームの中にも、個室でなければならない居室の一部を多床室にするなど、指針を無視して開設しているところもあります。指針を無視して作っておいて堂々と行政に届け出ているのですから、これはこれですごいと思うのですが、行政も届出を受理し、それほど強く改善を求めている様子はありません。
なぜ指針を守っていないのに届出を受理するのかと思えば、「届け出てくれないよりまし」という判断のようです。しかし、指針を守って運営している良心的なホームのためにも、きちんと改善指導を行うべきではないかと思います。
◆把握しにくい無届けホーム
とはいうものの、事業者に勝手にホームを建てて運営を始められたら、行政は通報でもない限り把握するのは困難です。そのため、火事で死傷者が出た群馬県渋川市の「静養ホームたまゆら」のような無届けホームが多数存在しているわけです。 もちろん無届けホームのすべてが悪いわけではなく、資金面の理由から広さや設備等の基準は満たしていなくても、良心的に運営しているホームももちろんあります。そうしたホームの中には、基準を満たしていないし、今後も満たせる見通しがないことから届け出られないというホームも多いと思います。 一方で、劣悪な環境の中に、主に生活保護受給中の要介護者を囲い込み、保護費を搾取しているような悪質なホームもあります。こうしたホームは、当然、行政の目が届いては困るので無届けで運営しているわけです ◆有料老人ホームと基準適合外施設を別立てに
この際、現行の有料老人ホームの基準とは別に、無届けホームがクリアしやすい基準を作り、登録を求めたらどうでしょうか。たとえば愛媛県では、有料老人ホームの基準を緩和して無届けホームの登録を促し、「基準適合外施設」としてホームページに一覧を掲載するそうです(2009年6月22日現在未掲載のようですが)。こうすれば、利用者もどのような施設かをある程度把握した上で、利用するかどうかを判断できると思います。 また愛媛県では、無届けホームを把握するため、施設を訪問する要介護認定調査員や、特定高齢者を把握する活動をしている地域包括支援センター職員などからの情報提供を募っているとのこと。こうした方法で、できる限り情報を集め、登録を促していくことで、悪質なホームも把握しできると思います。 しかし登録させたあと、どのように指導し、改善を求めていくかがまた問題です。 東京都は、事業停止などの実効性のある指導を行えるようにするべきだと厚生労働省に提案しました。しかし、実際、入居中のかたがいる施設の事業を停止したら、困るのは入居者。受け皿を用意した上で事業停止する必要があります。 これはなかなか難しい。 結局、粘り強く改善を求めていくしかないのでしょうか。
とはいうものの、事業者に勝手にホームを建てて運営を始められたら、行政は通報でもない限り把握するのは困難です。そのため、火事で死傷者が出た群馬県渋川市の「静養ホームたまゆら」のような無届けホームが多数存在しているわけです。 もちろん無届けホームのすべてが悪いわけではなく、資金面の理由から広さや設備等の基準は満たしていなくても、良心的に運営しているホームももちろんあります。そうしたホームの中には、基準を満たしていないし、今後も満たせる見通しがないことから届け出られないというホームも多いと思います。 一方で、劣悪な環境の中に、主に生活保護受給中の要介護者を囲い込み、保護費を搾取しているような悪質なホームもあります。こうしたホームは、当然、行政の目が届いては困るので無届けで運営しているわけです ◆有料老人ホームと基準適合外施設を別立てに
この際、現行の有料老人ホームの基準とは別に、無届けホームがクリアしやすい基準を作り、登録を求めたらどうでしょうか。たとえば愛媛県では、有料老人ホームの基準を緩和して無届けホームの登録を促し、「基準適合外施設」としてホームページに一覧を掲載するそうです(2009年6月22日現在未掲載のようですが)。こうすれば、利用者もどのような施設かをある程度把握した上で、利用するかどうかを判断できると思います。 また愛媛県では、無届けホームを把握するため、施設を訪問する要介護認定調査員や、特定高齢者を把握する活動をしている地域包括支援センター職員などからの情報提供を募っているとのこと。こうした方法で、できる限り情報を集め、登録を促していくことで、悪質なホームも把握しできると思います。 しかし登録させたあと、どのように指導し、改善を求めていくかがまた問題です。 東京都は、事業停止などの実効性のある指導を行えるようにするべきだと厚生労働省に提案しました。しかし、実際、入居中のかたがいる施設の事業を停止したら、困るのは入居者。受け皿を用意した上で事業停止する必要があります。 これはなかなか難しい。 結局、粘り強く改善を求めていくしかないのでしょうか。