MIYASHITA'S EYE

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地域づくりについての講演をして出た「うちの行政は動かなくて…」の声 
(2017年9月2日)

◆勉強熱心な地方議員の方たち

2017年8月末、東京・豊島区で各地の市町村議会議員の方たちを対象にした、地域づくりについての講演をさせていただきました。吹田市や宝塚市など、遠方から来て下さった方も

いて驚きました。地方議員の方と話す機会はあまり多くないのですが、こうして地域の将来を考え、熱心に勉強して下さる方々がいると知り、本当にありがたいことだと思いました。

この日お話ししたのは、まず、超高齢社会で「注目されている」課題と、その前にもっと「注目すべき」課題。そして、和光市を始め、各地の先進的な行政、法人、団体の取り組みについて紹介しました。

みなさんとても熱心に聞いてくださり、質問もバンバンしてくださって、こちらもとてもお話のしがいがありました。。

◆動いてくれない行政

そこで多く出たのは、当市では行政が動いてくれないのでどうしたら…、というようなご意見でした。議員さんとしては、行政と一緒になんとかいい街を作って行きたいと思っているのに、うまくいかないという思いがあるようです。

確かに、行政の動きには地域で差がありますし、意識にも温度差があると思います。それはある意味仕方がないことかもしれません。粘り強く、もっとこうしていきましょうと働きかけることも大切でしょう。しかし、私は、課題に気づいたあなたが自分のできることから動き始めましょう、とお話ししました。

こんなふうに言うと、とても偉そうですよね。でも、これは私自身、地域づくりについて取材をしていて学んだこと。先進と言われる活動をしている方が、共通して実践されていることなのです。

◆まず自分が動くことで変化が起きる

たとえば、自分が暮らす町を、認知症になっても安心して暮らせるようにしたいと、たった1人で活動を始めた方。町で認知症サポーター養成講座を開きたいと訴えても、なかなか理解してもらえませんでした。結局、講座開催が実現するまで1年間、この方は1人で黙々と自分にできることを続けることで、周囲の理解を得ていきました。今では活動が広がり、住民主体の活動として注目されています。そして、フランスの保健分野の閣僚が視察に来るまでになりました。

最期まで口から食べられるまちづくりをしている歯科医は、専門職での連携から、任意団体で食の支援の取り組みを始めました。活動がどんどん広がり、全国的にも注目を集めるようになると、行政の方から「連携しませんか」と声がかかるようになったといいます。活動が広がった今も、なかなか理解が進まない分野もあるといいます。しかし、それより自分たちができる活動を発展させていくことに、この団体は注力し、どんどん進化し続けています。

気づいた人がまず動くこと――。それをこうした方々のお話を伺うことで、私は学びました。「行政が動かないから」「住民の意識が盛り上がっていないから」「専門職の横のつながりがないから」と感じることはあると思います。でも、地方議員の方も、住民の方も、専門職の方も、まず自分が一歩を踏み出す。そこから、変化が始まることに気づいていただければと思います。

先日は、岐阜市の有識者会議で、岐阜市の職員の方たちにほぼ同様のテーマでお話をさせていただき、今回は地方議員の方々に。地域づくりをまさに実践していく立場の方々に、こうしたお話をさせていただけるのは、本当にありがたいことです。もっと役に立つお話ができるよう、取材活動を続けていきたいと思います。

(2017年9月2日)