MIYASHITA'S EYE/バックナンバー


◆公認心理師・信田さよ子さんに聞くDV、ハラスメント。「殴る側は自分が被害者だと思っている」という事実 (2023年1月17日)

殴る。蹴る。怒鳴る。必要もないのに体に触る。卑猥なことを言う――公の場所で行われれば、傷害罪や暴行罪、脅迫罪、強制わいせつ罪に問われるような行為は、家庭内や高齢者介護等の施設内ではなかったかのように見過ごされてきた。その発生件数は、コロナ禍によるストレスで増加しているとも言われている。こうした行為は「ドメスティックバイオレンス(DV)」「ハラスメント」と呼ばれ、今も犯罪とは別物であるかのような扱いである。日本は世界でも特に人権意識が低いことが指摘されている。それが、こうした問題への対応の鈍さにも影響しているにちがいない。…… [続きを読む]


◆介護事業者に「大規模化・協働化」を求める国の圧力へのソリューション。実例・中小介護事業者の好M&A (2022年5月12日)

従業員数20人未満の事業者が約3割、100人未満が約7割(*)と、中小事業者が多数を占める介護業界。健全運営でも、後継者不在で事業継続が危ぶまれる法人は少なくない。さらにコロナ禍が追い打ちをかけた。クラスター発生により営業停止になったデイサービス(通って利用する介護施設)など、業績不振によって事業譲渡を望む中小事業者は増え、M&A(企業の買収・合併)市場は活況だ。介護業界に対しては、国からの「大規模化・協働化」の圧力もある。2022年4月に、財務省財政制度等審議会財政制度分科会が示した介護分野の改革案では、小規模事業者が多い現状に対する厳しい指摘が相次いだ。…… [続きを読む]


◆軽度要介護者の介護保険はずし。利用者負担の原則2割化。財務省が繰り返し提案する介護保険改革案 (2022年5月1日)

2022年4月13日の財務省財政制度等審議会財政制度分科会(以下、財政審)で、また「効率化」を強く訴える介護保険制度改革案が示された。中でも特に反発が強いのは、これまでも繰り返し示されてきた以下の改革案だ。・利用者負担の見直し、・ケアマネジメントの利用者負担の導入等、・軽度者へのサービスの地域支援事業への移行等、・業務の効率化と経営の大規模化・協働化、介護保険サービスの利用者負担を見直し、原則2割にする。現在、利用者負担なしのケアマネジメント(ケアプラン作成)を有料化する。軽度者(要介護1,2)の訪問介護(ホームヘルプ)と通所介護(デイサービス)を介護保険から外して自治体サービス(地域支援事業)に移行する。…… [続きを読む]


◆新型コロナウイルスと戦う介護職を悩ますもう一つの問題。利用者、その家族からのハラスメント (2020年9月20日)

新型コロナウイルスは、未だ感染の収束が見えない状況にある。一方で、感染者数に比べて死亡者数は大きく増えていない。これは重症化リスクの高い高齢者の感染者数が増えていないからだと言われている。スペインやイタリアなどでは、高齢者施設での集団感染が多発。介護職の職場放棄もあり、多数の死者が出た。しかし日本では、高齢者施設での集団感染の爆発的な発生は抑えられている。その背景には、介護現場の職員たちの不断の頑張りがある。…… [続きを読む]


◆約8万人が、理学療法士、作業療法士などのリハビリ職の訪問による在宅でのリハビリを受けられなくなる? (2020年11月26日)

リハビリ職を一部閉め出すかのような介護保険制度改正案。骨折して以前のように歩けなくなった。脳梗塞の後遺症でマヒや失語が残った。そんなとき、提供されるのが、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士(注)といったリハビリテーション専門職(リハビリ職)によるリハビリテーションだ。心や体に働きかけ、「その人らしい生活・生き方」を取り戻すことをサポートする。。…… [続きを読む]


◆認知症になった認知症専門医、長谷川和夫さんから学ぶ、認知症との付き合い方 (2020年2月6日)

2020年1月、「認知症の第一人者が認知症になった」というテレビ番組が放映されました。認知症専門医として50年近く、日本の認知症診療を牽引してきた精神科医の長谷川和夫さんを追ったドキュメンタリーです。長谷川さんは、2017年に自身が「嗜銀顆粒(しぎんかりゅう)性認知症」となったことを公表しました。番組では、認知症だと公表してからの長谷川さんを、2018年8月から1年間にわたって取材したものでした。…… [続きを読む]


◆福祉×スポーツのコラボレーションが新たな価値と可能性を生み出す (2019年12月2日)

神奈川県西部で、特別養護老人ホームや放課後等デイサービスなどの介護福祉事業を多数展開する社会福祉法人一燈会が、昨年度、同じく神奈川県西部を活動地域とする湘南ベルマーレフットサルクラブのスポンサーとなった。なぜ社会福祉法人が、スポーツチームのスポンサーとなったのか。その取り組みと意図するところを、一燈会理事長の山室淳さんに伺った。…… [続きを読む]


◆屋根まで浸水した川越の老人ホームは、なぜ全員が無事避難できたか (2019年10月15日)

異常な降水量で、広範囲に浸水被害をもたらした台風19号。埼玉県川越市も、越辺(おっぺ)川の堤防が決壊し、浸水被害が広く発生しました。その川越市で、特別養護老人ホーム「川越キングス・ガーデン」は平屋建ての棟では屋根に達するほど浸水し、周囲から完全に孤立するという被害に遭っています。老人ホームでこうした被害が起きると、悲しいことにこれまでは犠牲になる方が出ることがありました…… [続きを読む]


◆要介護の高齢者が有償で野菜栽培に取り組む 「仕事付き高齢者向け住宅」が生み出す可能性 (2019年4月23日)

年齢を重ね、自分にできることが少なくなると、人は徐々に自信を失い、消極的になっていく。そんなとき、社会とつながり、人の役に立てた経験は、再び前向きな気持ちを取り戻す力となる。役割を担う活動に報酬が伴えば、いっそう心身は活性化する。それを、介護付き有料老人ホームの入居者に「仕事」を担ってもらう形で実践しているのが、社会福祉法人伸こう福祉会だ。…… [続きを読む]


◆地域づくりについての講演をして出た「うちの行政は動かなくて…」の声 (2017年9月2日)

2017年8月末、東京・豊島区で各地の市町村議会議員の方たちを対象にした、地域づくりについての講演をさせていただきました。吹田市や宝塚市など、遠方から来て下さった方もいて驚きました。地方議員の方と話す機会はあまり多くないのですが、こうして地域の将来を考え、熱心に勉強して下さる方々がいると知り、本当にありがたいことだと思いました…… [続きを読む]


◆地域づくりの「今」がわかる本、発売! (2017年4月24日)

「地域包括ケア」「地域づくり」が必要だとよく言われるけれど、なぜ? と思う方。ぜひこの本を手にとってください。地域包括ケアでは、単に人と人とが手を携える「連携」からさらに一歩進め、考え方や意識の「統合」が求められています。この本では、「統合」によって生み出される、人と人とのつながりを意識した「地域づくり」を取り上げました…… [続きを読む]


◆認知症についての理解が進む「VR認知症」 (2017年1月21日)

ハードもソフトも素晴らしいと評判のサービス付き高齢者向け住宅、「銀木犀」を運営している(株)シルバーウッドの下河原忠道さん。2016年12月、下河原さんが取り組んでいる「VR認知症」をようやく体験することができました。「VR認知症」はバーチャルリアリティの技術を用いて、認知症を持つ人たちが体験している世界を疑似体験するというものです。 …… [続きを読む]


◆埼玉県和光市の保健福祉のその後 (2015年6月21日)

埼玉県和光市の保健福祉部長・東内京一さんには、2年前に初めて直接お話を聞く機会を得てから、何回、取材をさせていただいただろう?  ちょっと思い出せないけれど『埼玉・和光市の高齢者が介護保険を"卒業"できる理由』という本を書くために、事業者さん、専門職のみなさんに取材をさせていただいたのは …… [続きを読む]


◆認知症を持つ方に医療ができること (2015年4月12日)

認知症の方に対して、医療ができることは少ないとよく言われます。 医療側はそれに対して、さまざまな反論をしていますが、認知症治療薬は、実は「治療薬=治す薬」ではなく、人によっては「認知症の症状を軽減する」「進行を一時的に遅らせる効果」がある、という程度の薬です。そう考えると、医療のできることは、本来、とても限定的ではないかと …… [続きを読む]


◆地域包括ケアの一つのモデル・和光市 (2015年1月29日)

埼玉県和光市をご存じでしょうか。 東京都練馬区、板橋区と隣接する、人口8万人弱のベッドタウンです。和光市は地域包括ケアのモデル都市として、しばしば厚生労働省の資料にも登場します。また、「介護保険から卒業させる」取り組みがメディアで紹介されることも多く、介護関係の方は耳にしたことがある方も多いと思います …… [続きを読む]



◆成年後見業務のグレーゾーンを何とかして!  (2013年5月20日)

5月19日、社会福祉士会主催の成年後見人「死後の事務」の講座を受講してきました。昨年、私が3年間社会福祉士として担当させていただいた被後見人の方が亡くなりました。そのあと、納骨するまでかなり大変な思いをしたので、どこまでがやるべき業務で…… [続きを読む]



◆宮下、現在、大学院で臨床心理学を勉強中です!  (2010年9月23日)

HPを立ち上げたものの、ずっと記事を書けないままになっていました。実は、2009年9月に心理大学院受験を思い立って予備校に通い始め、ライターを休業して、心理学や大学卒業以来の英語をウンウンうなりながら勉強して…… [続きを読む]



◆要介護認定修正だけでない介護保険の今後の課題 (2009年9月27日)

迷走を続けていた新しい要介護認定は、2009年7月28日に行われた「第3回要介護認定の見直しに係る検証・検討会」において検討が行われ、10月から認定調査の判断基準はおおむね従来通りに再修正されることになり、一応の決着を見ました。これに伴い、更新認定において、要介護度が従前より上がった、あるいは下がった際に…… [続きを読む]



◆介護老人保健施設、そろそろ見直したら? (2009年8月28日)

介護老人保健施設(老健)は、創設されたときの役割と、現在の役割が相当違ってきている気がします。それに創設されたときから、ちょっと無理のある仕組みだったのではないかと思う部分もあります。今回はそのあたりについて、考えてみます。 [続きを読む]



◆問題が多い、有料老人ホームのありかた (2009年7月28日)

有料老人ホームは介護保険サービスのように指定制ではなく、特別養護老人ホームや老人保健施設のように設置に認可がいるわけでもありません。有料老人ホームで介護保険の「特定施設入居者生活介護」を利用するためには、指定を受けなくてはならないけれど…… [続きを読む]