・!DOCTYPE html PUBLIC "-//W3C//DTD XHTML 1.0 Transitional//EN" "http://www.w3.org/TR/xhtml1/DTD/xhtml1-transitional.dtd">" 介護の世界

介護業界のいま

img_01

・特別養護老人ホームで医療的ケア、
一部解禁へ(2009年6月22日)

◆たん吸引と経管栄養を医行為からはずす!?

2009年2月にスタートした「特別養護老人ホームにおける介護職員と介護職員の連携によるケアの在り方に関する検討会」の第2回会合が、同年6月10日に開催されました(私は、この第2

回会合の開催を待ちに待っていたのに、傍聴申込は8日発表で9日15時締切。あまりに短すぎて申し込めず、傍聴できませんでした…涙)。 2009年6月22日付けの福祉新聞によると、この検討会で検討された医療的ケアは「たんの吸引」と「経管栄養」。 いずれのケアも、一定の研修を行った上で2009年中に100程度の施設でモデル事業を実施。その結果をもとにガイドラインを作成して、2010年度にも条件付きで認める方向とのこと。

たんの吸引については、在宅のヘルパーには認められている鼻腔までの吸引は認めず、口腔内まで。経管栄養では、注入そのものは行わず、注入中の観察、注入後の頭部の状態観察、看護職員への結果報告、片付け、記録のみとされたとのことです。

また、この医療的ケアについては、「介護職による吸引等は違法だが例外的に認める」という路線だったものが、日本医師会常任理事の三上裕司氏から、「吸引と経管栄養を医行為からはずすのが一番わかりやすい」という発言があったとのこと。三上氏の発言は、つまり法解釈を変えようという提案。これに対して検討会委員の法律学者らからは、「医行為からはずすと、誰がやってもいいことになってしまう」というとまどいと驚きの声があがったと、福祉新聞は報じています。

◆たん吸引、経管栄養は介護職が担うべきことか

こうした一連の検討は、2011年度末で介護療養型医療施設が廃止されたあと、たんの吸引や経管栄養などの処置が必要なかたの受け皿として、特別養護老人ホームが大きな役割を果たさざるを得ないため、行われているのはまちがいありません。

医療的ケアが必要なかたたちの行き場がないから、特別養護老人ホームに受け入れてもらうために、これまでも実は多くの施設で手がけていた、やってはいけなかったことを晴れてやってもいいことにする。この検討会の開催目的はそんなふうに感じられます。

多くの介護職が、たんの吸引等を担うことを不安に感じています。

そもそも医行為の定義とは何なのか。 たんの吸引や経管栄養注入後の観察等は介護職が担う生活行為でありうるのか。 その部分からきちんと議論した上で判断してほしいですし、介護職の不安を払拭できる教育・研修体制を組んでから解禁してほしいと思います。

一方で、積極的な治療が必要ないからと病院からは退院を迫られ、かといって軽微とはいえ医療的ケアが必要であるために介護施設での受け入れは断られがちな、たん吸引、経管栄養の管理が必要なかたたちにとっては、この検討会が打ち出した方向性は非常に喜ばしいことであるのは間違いありません。

困っている介護家族の力になれると、この方向性を容認する介護職のかたもいることでしょう。しかし、介護職が医療的ケアを一度引き受けるようになれば、徐々にその範囲が広がっていく可能性もあります。

要介護のかたをケアしていく上でこうした医療的ケアを担っていくことは必要なのか。 それとも、やはり引き受けてはいけないことなのか。 介護職のみなさん一人ひとりがしっかり考え、意思表明していくことが大切だと思います。