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ホームヘルパー
Job----介護の仕事
ホームヘルパーは「訪問介護員」とも言います。高齢者の自宅を訪問して、生活を支援する仕事です。利用者の自宅を訪れて1対1で介護するホームヘルパーの仕事の良さは、1人の利用者に集中して介護できること。これは多くの利用者を介護する施設介護との大きな相違点です。しかし1対1とは、上司も同僚もいないところで、1人で介護を提供するということ。もちろん、いざというときは電話等で上司に指示を仰ぐことはできますが、基本的にはその場での判断が求められます。未経験者はこの点に不安を感じるかたも多いのですが、現職ヘルパーに話を聞くと「それほど困ることはない」とのことです。
また未経験者には、当初、サービス提供責任者などの指導者が同行訪問する事業者がほとんど。難易度の低い「生活援助」のサービスからスタートして、慣れてきたら「身体介護」のサービスにもチャレンジしていくという体制の事業者が多いようです。
◆仕事内容は?
利用者宅を訪問してサービスを提供
ホームヘルパーは、基本的には利用者の自宅を訪問してサービスを提供します。提供するサービスは、内容により「身体介護」と「生活援助」があります。
◆身体介護: 利用者の体に触れることがある介護のこと。食事を食べさせる・食べるのを見守る(食事介助)、自宅の風呂での入浴を手伝う・入浴するのを見守る(入浴介助)、オムツを交換する・トイレに連れていって排泄の世話をする(排泄介助)など
◆生活援助: 体に触れない介護のこと。買い物、調理、清掃、洗濯など
また、ホームヘルパーは、雇用形態と仕事内容により、「非常勤(登録)ヘルパー」「常勤ヘルパー」「サービス提供責任者」の3つに分けられます。
◆非常勤(登録)ヘルパー(以下、登録ヘルパー): 訪問介護事業所に時間給で働く登録をし、事業者から指示された時間帯だけ利用者宅を訪問してサービスを提供します。多くは、自宅から利用者宅に直行して仕事を終えたら自宅に帰る「直行直帰」で働きます。
登録ヘルパーは、料理や掃除、あるいは家族への気配りなど、主婦としての経験を生かせる上、比較的短時間でも働きやすいため、40~50歳代の主婦のかたがたくさん働いています。主婦経験を生かして働きはじめて、次第に介護のプロを目指し、国家資格である「介護福祉士」を目指すかたも増えています。ホームヘルパー(登録、常勤含む)の平均年齢は、47.7歳となっています。※
◆常勤ヘルパー: 事業所に出勤し、9時から5時までなど一定の時間帯を、週5日程度常勤で勤務します。登録ヘルパーと同じように、利用者宅を訪問してサービス提供をしますが、担当するのは登録ヘルパーには対応が困難な利用者が中心。また、登録ヘルパーが担当の利用者宅を急に訪問できなくなった際、代わりに訪問することもあります。訪問以外の空き時間は事業所で記録の整備などの事務処理を行います。
登録ヘルパーより高い介護スキルや仕事への責任感、気むずかしい利用者にも上手に対応できる柔軟性やコミュニケーション能力を持つヘルパーが常勤として採用されるケースが多いようです。事業所によって常勤は、登録ヘルパーをとりまとめる「サービス提供責任者」だけというところもあります。
◆サービス提供責任者: 介護保険制度上、登録ヘルパー10人につき1人などの規定により、配置が義務づけられている職種です。主な仕事は利用者の要望等を聞き、登録ヘルパーに指示、指導をしていく、対利用者向けの窓口業務。訪問介護サービス利用開始に当たっては、利用者宅を訪問して要望を確認し、ケアマネジャーが立てたケアプランに沿った訪問介護計画を立てます。
訪問してサービス提供をする際こともありますが、常勤ヘルパーで紹介したように、担当するのは登録ヘルパーでは対応が難しい利用者が中心。訪問介護サービスの利用を本人が納得していない、サービス内容への要望が多いなど、細かな配慮が必要な利用者を担当します。
このほか、登録ヘルパーに同行訪問して技術指導を行ったり、利用者からの要望、苦情に対応したりするなど、サービス提供以外の仕事が多いのがこの仕事の特徴です。
※介護労働安定センター「平成20年度介護労働者の就業実態と就業意識調査」の結果より。この調査においては、正社員(正規職員)とは、雇用している労働者で雇用期間の定めのない労働者のうち、パートタイム労働者や他企業への出向者を除いた、いわゆる正社員をいう。非正社員(非正規職員)とは、正社員以外の労働者(契約社員、嘱託社員、臨時的雇用者、パートタイム労働者)をいう。
◆雇用形態は?
常勤と非常勤(登録制)がある
ホームヘルパーの雇用形態には大きく分けて、時間給で働く非常勤の「登録ヘルパー」と、月給制の常勤ヘルパーがあります。サービス提供責任者も常勤ヘルパーです。一般にホームヘルパーというと、思い浮かべるのは登録ヘルパーではないかと思います。
介護労働安定センターの調査によれば、ホームヘルパー(調査では訪問介護員)の雇用形態(調査では「就業形態」)は、正社員32.6%、非正社員66.5%と、正社員雇用は3割足らず。一方、サービス提供責任者は正社員76.5%、非正社員22.2%と、逆に正社員比率がぐっと高くなります※。
◆必要な資格は?
介護職員初任者研修修了以上の資格が必須
◆サービス提供責任者以外の常勤・非常勤ヘルパー: 介護職員初任者研修(以下、初任研)修了、または介護職員実務者研修(以下、実務研)終了、または介護福祉士(養成施設を卒業し、国家試験を受けて取得)、または正・准看護師(養成施設を卒業し、国家試験等を受けて取得)。常勤ヘルパーには介護福祉士、あるいは初任研修了とある程度の実務経験が求められます。
*ホームヘルパー2級(以下、ヘルパー2級)の養成課程は2013年3月末で廃止となり、4月からは介護職員初任者研修に変わりました。ヘルパー2級修了者はそのまま初任研修了扱いとなり、そのまま仕事を続けることができます。同じく、ホームヘルパー1級の養成課程、介護職員基礎研修も廃止となりましたが、修了者はそのまま仕事を続けることができます。
◆サービス提供責任者: 実務研修了者、または介護福祉士、旧介護職員基礎研修修了者、旧ホームヘルパー1級課程修了者、看護師、准看護師。難しい利用者対応を求められることも多いため、資格を持っていて技術的に優れているだけでなく、許容力や柔軟性、問題解決力なども求められます。
*初任研修了あるいはヘルパー2級修了のサービス提供責任者は、速やかに実務研修了あるいは介護福祉士取得が必要です。2013年4月以降、初任研修了者あるいはヘルパー2級修了者がサービス提供責任者を務める訪問介護事業所は、翌月のすべての訪問介護費が減算対象となります。
◆勤務時間は?
登録ヘルパーの勤務時間は人により様々
◆登録ヘルパー: Aさん宅に10時から11時30分、Bさん宅に13時から14時など、事業者から指示された時間帯だけ、自宅から直接、利用者宅を訪問します。どの程度の勤務時間になるかは、利用者のニーズ(朝、夕方の食事作りの時間帯に訪問介護の要望が多い)、事業者の判断により決まります。 このため、登録ヘルパーの勤務時間は人により異なりますが、ホームヘルパー(登録、常勤含む)の1ヶ月の平均実労働時間は74.2時間となっています。
登録ヘルパーには、1日3~5件の利用者宅を次々と訪問して朝から夕方まで勤務する人もいますが、1日1件という人もいます。こうした件数の差は、ヘルパーが働ける時間帯の差もありますし、ヘルパーとしての能力の差もあります。介護のスキルが高く、人当たりがよくて臨機応変な対応ができるヘルパーは、利用者から好まれます。そういうヘルパーは訪問件数が多くなり、勤務時間も長くなります(ヘルパー自身の希望にもよりますが)。
また、働ける時間帯の面から言うと、「この曜日のこの時間だけ働きたい」等、勤務時間を限定すると利用者のニーズとのマッチングが難しくなります。ホームヘルパーは自由な時間に働けるというイメージがあります。しかし、あまり時間帯や曜日を限定すると、担当できる件数が少なくなり、収入も増えないことは知っておいた方がよいでしょう。
◆サービス提供責任者: 9時頃から17時頃。新規の利用者がふえて対応に時間を取られたり、新しい登録ヘルパーへの指導が必要な際などは、残業する場合もあります。1ヶ月の平均実労働時間は163.5時間となっています。※
※平成20年度事業所における介護労働実態調査より
◆給与は?
サービス提供責任者になれば給与がアップ
◆ホームヘルパーの平均賃金: (常勤・非常勤ヘルパー両方を含む)
月給 13万4200円 時給1123円
◆サービス提供責任者の平均賃金:
月給 20万3700円 時給 1067円※
このデータではホームヘルパーの月給は13万円を超えていますが、登録ヘルパーの場合、なかなかこの金額には達しません。平均月給の13万4200円に達するには、時給を1123円とすると1ヶ月に約120時間サービス提供しなくてはなりません。月20日間、1日6時間働いてようやく13万4760円です。週3日、1日3件(計約4.5時間)担当ぐらいの勤務であれば、月収6~8万円程度だと思います。
利用者宅から利用者宅への移動時間や利用者宅から事業所に書類を提出しに行く移動時間、記録を書く時間は、本来、労働基準法においては勤務時間として認められることになっています。しかしこれらの時間については介護報酬が支払われず事業所の持ち出しになってしまうため、労働時間に含めていない事業所が多いようです。登録先の事業所を選ぶときには、時給だけではなく、そうした点も確認して選ぶといいかもしれません。
※介護労働安定センター「平成20年度介護労働者の就業実態と就業意識調査」の結果より
◆どんな人に向いてる?
◆登録ヘルパー: どんな家庭を訪問しても、その家庭なりのやり方をすっと受け入れられる柔軟性のある人(このやり方のほうがいいと自分のやり方を押しつける人が多い)。訪問しただけでその家のムードが明るくなるような人(喜ばれます)。時間を守れる人(ルーズな人が多くて困っている利用者多数)。訪問先で見たこと、聞いたことを外で話さない口が堅い人(近所でしゃべって大問題になるケースあり)。
◆常勤ヘルパー: 登録ヘルパーと同様ですが、さらにいくつかあります。人当たりがソフトで、すぐにカッと怒らない人。困ったことが起こってもパニックにならず、冷静に対処できる人。気むずかしい利用者を任されてもひるまない人。自分が急に休むと同僚に迷惑がかかることが理解できる人。
◆サービス提供責任者: 登録ヘルパー、常勤ヘルパーと同じですが、さらにいくつか。調整能力がある人(登録ヘルパーと利用者、ケアマネジャーなどの間に立ってやり取りすることが多い)。パソコンができる人。事務処理が得意な人。仕事が早い人(仕事にある程度ボリュームがあるため)。人に介護のやり方を教えるのが上手な人。文章がある程度書ける人(訪問介護計画書を作成するため)。観察力のある人(利用者の状態をきちんと把握する必要があるため)。文句を言われてもへこたれず、うまく対応できる人(事業所の苦情の窓口でもあるため)。